卒業研究概要
武市 颯希(岡山大学 薬学部薬学科,2018〜2020年度)
岡山大学病院では,手術を受ける患者に快適で安全・安心な手術と周術期(術前~術後)の環境を効率的に提供することを目的に,「周術期管理センター(Perioperative Management Center:通称PERIO)」が2008年に全国に先駆けて開設されました。PERIOが介入することによって,患者に質の高い医療の提供が可能になると期待されていますが,これまでPERIOのような多職種による周術期管理の介入効果を定量的に評価することはできていませんでした。本研究では,PERIOが行う多職種による周術期管理の介入効果に関して,定量的に評価しました。
本研究により,PERIOの行う多職種による周術期管理は,平均在院日数(中でも平均術前在院日数)の短縮および手術直前中止頻度の減少に有効であることが示唆されました。術後合併症の発生頻度は肺炎,肺塞栓症,虚血性心疾患のいずれも減少傾向にあるものの,統計的有意差を示すには至りませんでした。今後の課題として,さらに症例数や評価項目を増やして評価を行うことで,多職種による周術期管理がもたらす効果や影響の範囲をより詳細に明らかにする必要があると考えられます。
森田 瑞樹, 武市 颯希, 加門 真侑, 安原 隆雄, 田村 利枝, 森谷 翔太, 岩上 将夫, 森松 博史. 多職種連携による周術期管理の効果:後方視的観察研究による検討. 日本臨床麻酔学会 第42回大会. 2022/11/11-12(京都), ポスター