卒業研究概要(髙木美菜)

卒業研究概要

末梢血単核細胞(PBMC)の凍結保存における磁場・電磁波凍結と凍結保存容器の比較

髙木 美菜(岡山大学 医学部保健学科 検査技術科学専攻,2019年度後期)


 バイオバンクとは,生体試料を臨床情報と共に保管し,研究のために提供する機関です。高品質で安定した生体試料の保管には,凍結処理が特に重要です。多くの細胞では,徐々に細胞の温度を下げていく緩慢凍結法が用いられます。しかしこの凍結法は,その凍結時間の長さから品質にばらつきが生じやすく,また業務上支障をきたしやすいなどの問題があります。そこで,より短時間で細胞を凍結する方法として磁場・電磁波凍結に注目しました。この凍結法は,急速凍結中に磁場と電磁波を印加することで氷の成長を抑え,細胞破壊を防ぐもので,食品の鮮度を保つものです。本研究は,磁場・電磁波凍結と緩慢凍結法を比較し,その有用性を検討しました。生体試料には生きたまま凍結できる末梢血単核球(PBMC)を用い,細胞の評価は生細胞率と抗体刺激による増殖能で行いました。増殖能は評価に至りませんでしたが,生細胞率では2つの凍結法に大きな差異がなく,液体窒素に保管して7日後においては磁場・電磁波凍結の方がより細胞の生存を保持できる可能性が示唆されました。