卒業研究概要(岡崎理紗)

卒業研究概要

電子カルテを用いた臨床試験実施可能性調査の可否の検討

岡崎 理紗(岡山大学 薬学部薬学科,2019〜2021年度)


 臨床試験は、新薬の開発や新しい治療法の確立に必要不可欠です。臨床試験に参加する被験者は臨床試験が始まってから集められますが、事前の想定通りに集まらないケースがあり、臨床試験の円滑な実施を妨げてしまいます。そこで、被験者の候補となる患者数の見積もりを効率化することで、被験者が想定通り集まらないという事態を避けられるようにしたいと考えました。このために本研究では、電子カルテのデータを用いた絞り込みによって被験者候補数の見積もりを効率化できるか検討しました。

 過去の臨床試験を対象に、患者を電子カルテのデータを用いて機械的に絞り込み、それを臨床試験コーディネーターによるカルテ調査の結果と比較することで、電子カルテのデータを用いた絞り込みの精度を評価しました。一型糖尿病の臨床試験では十分な絞り込みができませんでしたが、潰瘍性大腸炎では正解の症例を除外することなく症例数を絞り込むことができ、被験者候補数の見積もりの効率化につながる結果が得られました。

 今後は、どのような臨床試験や条件で電子カルテのデータを用いた絞り込みが成功するかをさらに調査したいと考えています。