卒業研究概要(西岡直哉)

卒業研究概要

がん遺伝子パネル検査の実臨床における有用性の評価方法の提案と妥当性の検討

西岡 直哉(岡山大学 薬学部薬学科,2016〜2018年度)


 がんゲノム医療において,多数の遺伝子変異を同時に検査できる遺伝子パネル検査の活用が進んでいますが,実臨床における遺伝子パネル検査の有用性は十分には評価できておらず,本研究では2つの課題に取り組みました。1つ目の課題は,国内のがんに関わる3学会によって公開されている遺伝子変異の分類において,一部の遺伝子変異が変異様式(L858Rなど)に基づいて分類されていないことです。変異様式は遺伝子の種類(EGFRなど)と同様に治療薬の効果に影響を及ぼすため,実臨床において重要です。本研究では,遺伝子変異の情報を集約した公開データを3学会の分類に組み合わせることでこれを解決しました。2つ目の課題は,遺伝子パネル検査の有用性の指標として用いられてきたactionable変異の定義が広く,actionable変異が検出された患者の多くが治療へ移行できていないことです。本研究では,3学会の分類のうち薬物治療につながり得る遺伝子変異のみをdruggable変異と定義しました。これを有用性の指標とすることで,より実臨床に即した評価を可能としました。