卒業研究概要(三浦彩花

卒業研究概要

スマートウォッチによる睡眠中のSpO₂測定精度の検証

三浦 彩花(岡山大学 医学部保健学科 検査技術科学専攻,2022年度後期)


 皆さんは「スマートウォッチ」というものをご存知でしょうか。Apple Watchなどの普及により,近年スマートウォッチを利用する人は増加しています。スマートウォッチには,脈拍数や呼吸数などのヘルスケアを目的とした測定機能が搭載されています。もし,スマートウォッチの測定機能を利用して簡単に患者の健康状態を把握することが出来たら,どれほど便利でしょうか。

 最近のスマートウォッチの測定項目の中には,血中酸素濃度(SpO₂)が含まれています。SpO₂の測定が必要な疾患には,新型コロナウイルス感染症などの呼吸器疾患や睡眠時無呼吸症候群(SAS)などがあります。しかし現時点では,スマートウォッチのSpO₂測定精度は保証されておらず,医療目的での使用は推奨されていません。そこで本研究では,医療機器(パルスオキシメータ)と比較をすることにより,スマートウォッチによるSpO₂の測定精度を明らかにしました。

 その結果,スマートウォッチのSpO₂測定精度は低く,医学的な使用には適していないことが分かりました。一方で,スマートウォッチで測定した場合でもSpO₂の大まかな変動は把握できることから,SpO₂の変動(低下)を知る目安としての使用は可能であると考えられます。