卒業研究概要(木村萌花

卒業研究概要

9軸加速度計による日常生活動作の識別

木村 萌花(岡山大学 医学部保健学科 検査技術科学専攻,2022年度期)


 症状や異常と、それが出現した時の患者の動作とを関連付けて判断する必要がある疾患や検査があります。例えばホルター心電図検査では、トイレや食事などの動作を記録します。現在、動作の内容と時刻は患者の自己申告ですが、Apple Watchなどを用いて自動で動作を識別することができれば、正確で客観的なデータが取得でき、また患者の負担軽減にもつながると考えられます。

 先行研究により、Apple Watchなどに内蔵されている加速度計と機械学習を用いて動作を識別できること、加速度計の装着部位によって識別精度が異なることが示されています。本研究では、加速度計を体のどこに装着すればどの動作がどれくらいの精度で識別できるかを明らかにすることを目的として実験を行いました。

 実験では、被験者の体の5箇所に加速度計を装着し、9つの行動の識別を試みました。結果として、加速度計を手首や胸に装着した場合に動作の識別精度が高いこと、歩行や走行などの規則的な動作の識別精度が高いこと、食事のように複雑な動作の識別精度が低いことが分かりました。今後は、識別精度が低い動作に対する対策や、患者を対象にした研究につなげたいです。