卒業研究概要
遠藤 結(岡山大学 医学部保健学科 検査技術科学専攻,2024年度)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸停止や低呼吸を起こす疾患であり、未治療のまま放置すると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、入手が容易で手軽に利用できるウェアラブル機器を活用したスクリーニング方法の開発が期待されています。
本研究では、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査で得られた心拍数、血中酸素飽和度(SpO₂)、呼吸数の三つの情報を用い、機械学習によって睡眠時無呼吸(SA)の予測を行いました。この結果、予測精度は中程度となり、また、SAの検出にはSpO₂が最も重要な指標という結果が得られました。心拍数は多くのウェアラブル機器で測定できるため、心拍数のみで高い予測精度を達成できれば、より多くの人を日常的なスクリーニング検査の対象とすることが可能となります。しかし本研究では、心拍数のみでは十分な予測精度が得られませんでした。
今後の課題として、ウェアラブル機器をSASのスクリーニング検査に用いるために、予測精度の向上が求められます。機械学習モデルの最適化や、使用する特徴量の選定に工夫を加えた次の研究が必要です。